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2017.08.13



いつから始める?妊活と葉酸

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葉酸は赤ちゃんの健やかな成長に欠かせない栄養素です。

ところで、厚生労働省が都道府県や医師会に「妊娠可能な全ての女性に葉酸の積極的な摂取を呼びかける」ように通達を出していることを知っていますか?

注目したいのは「妊娠可能な全ての女性」という部分です。葉酸は妊娠したら必要な栄養素ではなく、妊娠する前から必要となる栄養素なのです。

子どもを望む妊活中の人にとっても、葉酸は大切な栄養素のひとつです。でも、妊活は葉酸さえとればいいというものではありません。

妊活はいつから、どんな風に始めるとよいのでしょうか?葉酸をはじめとする栄養と妊娠の関係や、妊活の始め方について紹介します。

目次

1 妊活の第1ステップ~妊娠に関わる体のしくみを知る~
  1-1 女性の体のしくみ
  1-2 男性の体のしくみ
  1-3 受精と着床
2 葉酸と妊活はいつから始める?
  2-1 妊娠しやすい体のつくり方
     2-1-1 規則正しい生活
     2-1-2 バランスのとれた食生活
     2-1-3 質のよい睡眠
     2-1-4 適度な運動
     2-1-5 十分な休養
  2-2 禁煙のすすめ
3  葉酸をはじめとする積極的にとりたい栄養素
  3-1 タンパク質
  3-2 コレステロール
  3-3 鉄
  3-4 ビタミンD
  3-5 ビタミンB群
  3-6 葉酸とビタミンB12
  3-7 コエンザイムQ10
  3-8 ビタミンE
  3-9 ビタミンA
4 妊活中に気をつけたい栄養素
  4-1 糖質
  4-2 トランス脂肪酸
まとめ

1 妊活の第1ステップ~妊娠に関わる体のしくみを知る~

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かつては、「子どもは結婚すれば自然と授かるもの」と考えられていました。少子化が進んできた現状からもわかるように、現在は待っているだけでは子どもを授らない可能性がある時代です。

今では「避妊せずに2年間妊娠しない」状態を「不妊」と呼ぶようになっています。そして、不妊治療について考え始めることがすすめられているのです。

妊活について考える上で、まず知っておきたいのが、妊娠に関係する体のしくみです。これは女性だけではなく、男性についても知識が必要です。それぞれの体のしくみが上手く働かないと、妊娠することはできません。

1-1 女性の体のしくみ

女性の体が妊娠できるようになるのは、初潮を迎えて女性ホルモンの分泌が盛んになり、生殖器が成熟してからです。成熟した女性は、女性ホルモンなどの働きによって、約28日周期で月経を繰り返すようになります。

生殖器は大きくふたつに分けられます。ひとつが体の中にある内生殖器、もうひとつが体の外にある外生殖器です。このうち、おもに受精と赤ちゃんの発育に関わるものが内生殖器で、次のようなものがあります。

卵巣

赤ちゃんの元となる卵子をつくる臓器で、子宮の左右に1個ずつあります。長さが3~4cmのソラマメのような形をしていて、内部には卵子の元になる原始卵細胞が詰まっています。

原始卵細胞の数は生まれたときから決まっています。年齢とともに減っていくため、初潮を迎えた時期に残っているのは、20~30万個と言われています。約28日周期でそのうちの1個が成熟して飛び出します。

卵管

子宮の上部に繋がっているラッパ状の細い管です。卵巣から飛び出した卵子を受け止めて、子宮に送る役割を持っています。受精は卵管の中の「卵管膨大部」と呼ばれる場所でおこります。

子宮

受精卵を受け入れて赤ちゃんを育てる役割を持ちます。外側が筋肉でできていて、洋なしをひっくり返したような形をしています。通常は幅4cm、高さ8cmぐらいの大きさですが、赤ちゃんが育っていくと伸びて大きくなります。

内側には赤ちゃんを育てるベッドの役割をする子宮内膜があります。子宮内膜はホルモンの働きで厚くなっていき、受精卵が着床しなければ剥がれ落ちて、月経として排出されます。

長さ7~10cm程度の筒状の器官で、子宮と外陰部を繋いでいます。雑菌が入り込まないように、常に酸性が保たれています。セックスのときには男性器を受け入れて、出産時には赤ちゃんが通ります。

1-2 男性の体のしくみ

男性は第二次成長期に入ると生殖器が成熟して、精子の生産が始まります。

精巣(睾丸)

精子をつくる臓器で、左右に1個ずつあります。精巣の中には精子の元になる精原細胞があって、約2か月かけて精子になります。精子は昼夜を問わずに作り続けられていて、1日に5000万~1億個できます。

精巣上体(副睾丸)

できあがった精子が集められています。精子はここで成熟します。

精嚢

精液の成分となる液体を分泌する器官です。

前立腺

栗の実のような形をした器官です。精液の成分を分泌します。

精管膨大部

男性が性的に興奮すると、精巣上体に蓄えられていた精子が移動する場所です。移動した精子は精嚢から分泌された液体と合わさって射精管に送られます。

射精管

精子と精嚢から分泌された液体に、前立腺から分泌された液が加えられて、精液ができあがります。性的な興奮が頂点に達すると、精液が尿道を通って尿道口に射出されます。

1-3 受精と着床

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卵巣から飛び出した卵子は、卵管膨大部で精子を待ちます。卵子の寿命は12~24時間です。

精子は、膣内に放出されると、子宮頸管、子宮を通って卵管を目指します。この過程でふるいにかけられ、元気な精子だけが卵管にたどり着きます。

射精直後は受精能力がないため、卵管の途中の峡部に受精能力が得られるまでとどまります。精子が受精能力を得るまでにかかる時間は5~6時間、その後、36時間受精可能な状態が保たれます。

卵子の存在を感知した精子は、卵管膨大部へ進みます。卵子の表面を覆う細胞膜と透明体を酵素で最初に破ることができた精子だけが受精できます。

受精した精子と卵子はそれぞれが持つ核を結合させて、新たな命を持つ受精卵となります。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら卵管内を移動して、約1週間かけて子宮にたどり着きます。受け入れ準備の整った子宮内膜に受精卵が着床すれば、妊娠が成立します。

2 葉酸と妊活はいつから始める?

妊娠可能な女性は、葉酸の摂取量を0.4mg(400μg)に増やすことが呼びかけられています。結婚したらすぐに、遅くとも妊活を始めようと決めたときには葉酸の摂取量を増やしましょう。

妊活を始めるタイミングは、20代なら「そろそろ赤ちゃんがほしい」と思ったときです。自然妊娠を目指して、妊娠しやすい体づくりを始めましょう。

妊活を1年近く続けていて、まだ妊娠できていない場合は、一度、不妊検査を受けてみてください。2年以上続けている場合は、早めに専門医を受診したほうがよいでしょう。

ところで、女性が年齢を重ねるにつれて卵子の数が減り、質も低下していきます。35歳を過ぎると、妊娠が難しくなることがわかっています。病院の受診を迷っている人は、思い切って一度、専門医を訪ねてみてはいかがでしょうか?

2-1 妊娠しやすい体のつくり方

健康的な生活を送ると、新陳代謝が活発になって、生殖器官の働きも活性化します。質のよい卵子や精子が作られれば、妊娠率もアップします。妊娠しやすい体づくりのポイントは次の5つです。

2-1-1 規則正しい生活

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働いていると残業などもあって、就寝時間が遅くなりがちです。夜更かしは生活リズムを乱す大きな要因です。

生活リズムを整えるには早起きが有効です。起きたら朝日を浴びるようにしましょう。

食事の時間もなるべく一定にするとよいでしょう。ただし、スケジュールにこだわりすぎるとストレスになります。ずれたら修正すればいいという「ゆるい」気持ちで行いましょう。

2-1-2 バランスのとれた食生活

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朝食、昼食、夕食の3食を規則正しくとりましょう。朝食は軽くてもよいので食べる習慣をつけてください。

毎食同じようなものを食べるのではなく、できるだけ多くの食品を食べることも大切です。夕食はまだ食べていない食品を優先させて、腹八分目を心がけましょう。野菜を多めに食べることも意識してください。

早食いは妊娠率を上げるには不向きです。よく噛んで食べるようにしてください。理想は1口30回噛むことです。少なくとも10回以上噛むことを意識しましょう。

2-1-3 質のよい睡眠

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睡眠で重要なのは、時間よりも睡眠の質です。質のよい睡眠がとれれば、体のリズムを整えて、疲労回復することができます。

まずは就寝時間をなるべく早めましょう。どんなに忙しくても、その日のうちにベッドに入ることを心がけてください。時間が足りない場合は、夜更かしではなく早起きして時間を作りましょう。

眠る前には温めのお風呂に入ったり、マッサージしたりして、リラックスします。寝付きにくい場合は、催眠効果のあるホットミルクやハーブティーなどを飲んでもよいでしょう。寝酒の飲み過ぎには気をつけてください。

2-1-4 適度な運動

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適度な運動は、血行をよくして、ホルモンバランスを整えるのに有効です。子宮や卵巣の働きがよくなるうえ、体力もついて、ストレスも解消できます。無理なく続けられる運動を行うとよいでしょう。

運動と言われると、スポーツジムなどに通わなければと思うかも知れません。でも、そんなに本格的に時間をとる必要はありません。1駅手前で降りて歩いたり、エレベーターの代わりに階段を使ったり、買い物に歩いて行ったりといったことを心がけるだけでも十分です。

ウォーキングは手軽な運動のひとつです。背筋を伸ばしておなかを引っ込め、肘を曲げて手首を心臓のあたりまで上げ、コンパクトに腕を振って歩くとよいでしょう。

なお、靴は指先に余裕のあるサイズで、足幅が合っていて、土踏まずにフィットするものを使ってください。できればウォーキング専用のものを選びましょう。

2-1-5 十分な休養

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人間の体は体内時計によって、生活のリズムが作られています。日中は活動モード、夜は休息モードと、モードが切り替わります。

夕食後には休息時間をとるようにしましょう。疲れを溜めてしまうと、妊娠しにくくなるので気をつけましょう。疲れたら休むようにしてください。

また、ストレスを溜めるとホルモン分泌が乱れることがあります。月経不順や排卵障害の原因となるので、ストレス発散を心がけてください。ストレス解消法は人によってさまざまです。趣味やスポーツ、友人とのおしゃべりなど、自分に合った方法で発散しましょう。

2-2 禁煙のすすめ

妊娠を考える上で、避けて通れないのがたばこの問題です。たばこの悪影響は女性だけにとどまりません。赤ちゃんを望む男性にも害を与えます。

たばこが与える影響は、男性の場合では精子の数の減少、精子の運動性の低下、奇形精子ができる確率の上昇などがあります。

女性では、卵子の老化、卵巣機能の低下による閉経の早まり、治療での妊娠成功率の低下などがあります。妊娠した場合でも、胎児の先天性異常の発生率が高くなったり、発育が遅れたり、早産になる危険性があります。

3 葉酸をはじめとする妊活で積極的にとりたい栄養素

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妊娠しやすい体づくりで鍵となるのが、食生活です。最近の研究で、栄養素と妊娠しやすさには深い関係があることがわかってきています。

葉酸は妊活中から摂取量を増やすことが呼びかけられていますが、それ以外にも積極的にとりたい栄養素があります。おもな栄養素が次に挙げるものになります。

3-1 タンパク質

体をつくる材料となります。植物性タンパク質に偏らず、毎日、肉・魚・卵・豆類それぞれを100g(手のひら一杯程度)とることを心がけてください。

植物性タンパク質は動物性タンパク質と一緒に食べるとよいでしょう。植物性タンパク質の利用効率を高めることができます。

妊娠しやすい体質をつくるために必要なタンパク質の量は、1日に体重1kg当たり1~1.5gです。

3-2 コレステロール

女性ホルモンの材料となります。女性ホルモンが不足すると、無排卵を引きおこす場合があります。

ところで、卵子の数は年齢を重ねるにつれて減っていきます。卵子がどれくらい残っているのかは、「抗ミュラー管ホルモン(AMH)」の検査である程度、知ることができます。

AMHの値は、個人差が大きく、同じ年齢でも高い人と低い人がいます。この違いを左右しているのがコレステロールです。コレステロールが高いほどAMHの値が高く、反対にコレステロールが低い人ほど卵巣の予備機能が低下していることがわかってきています。

妊活中には特に積極的にとりたい栄養素です。

3-3 鉄

粘膜をつくる材料となり、子宮の環境を整えます。鉄が不足すると、子宮内の粘膜は受精卵が着床しにくい状態になってしまいます。

3-4 ビタミンD

免疫力を高める働きをします。子宮内膜の環境を整える役割を持っていて、受精卵の着床にも必要となります。体外受精の妊娠率アップにも関係しています。

3-5 ビタミンB群

タンパク質や脂質、糖をエネルギーとして利用するために必要な栄養素です。特に妊娠と深く関わるのが、ビタミンB6、ビオチン、葉酸、ビタミンB12です。葉酸とビタミンB12については、後で詳しく紹介します。

3-6 葉酸とビタミンB12

このふたつは赤ちゃんの成長を助け、脳や神経をつくる働きを持っています。赤ちゃんの先天性異常のリスクを低減するためにも重要です。妊娠のごく初期、妊娠6週目までに必要となるため、妊活中からとる必要があります。

妊活中や妊娠初期には多くの葉酸が必要とされるので、ビタミンB12が配合された葉酸のサプリメントを摂取するとよいでしょう。

3-7 コエンザイムQ10

タンパク質や脂質、糖の代謝を促して、エネルギーを生み出す働きを持っています。卵子の老化のスピードを遅くするために、30代後半以降は積極的にとりたい栄養素です。サプリメントも利用して、十分な量を摂取しましょう。

3-8 ビタミンE

「妊娠ビタミン」とも呼ばれています。排卵の促進、ホルモンの調節などを行っています。月経周期を正常にする働きもあります。

3-9 ビタミンA

子宮の環境を整える働きをします。また、妊娠が判明する時期にも多く必要となります。

4 妊活中に気をつけたい栄養素

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バランスのよい食生活は妊活の基本ですが、とりすぎると妊娠しにくくなる栄養素もあります。

4-1 糖質

栄養素の中でも、とりすぎを注意したい栄養素が糖質です。エネルギー源として重要なものですが、卵子にとってはよいものとはいえません。体の中で余った糖はタンパク質と結びついて、「AGE(終末糖化物質)」になります。これは毒性が強く、溜まると老化の原因となります。

体外受精のために採卵するとき、AGEが蓄積している人は30代半ばから採卵できる数が急激に減ってくることがわかっています。また、妊娠率もAGEが蓄積している人は30代前半から大幅に低下するのです。

妊娠を考える上では、低糖質の食事の方が適していると言えそうです。

ただし、糖質を制限しすぎると逆効果になってしまいます。栄養状態が悪化すると、妊娠しにくくなるからです。糖質のとり方では、血糖値の急上昇を避けることを意識してください。

4-2 トランス脂肪酸M

マーガリンやショートニングなど、植物油を加工して作られたものに含まれています。老化やがんに関係するものとして、欧米では規制が行われています。

まとめ

妊娠可能な年齢の女性全てに、積極的な摂取が呼びかけられている栄養素が葉酸です。葉酸は妊娠初期の胎児の成長に欠かせないもので、不足すると先天性異常をおこすリスクが高まるためです。だから、いつ妊娠してもよいように、あらかじめ葉酸をとる量を増やしておくのです。

ところが、現在は自然に生活していれば赤ちゃんを授かれるという時代ではなくなっています。不妊というと特別なことに思いがちですが、現在では「避妊をしていないのに2年間妊娠しなければ不妊」と言われるようになっています。

赤ちゃんを望む場合は、葉酸の摂取を増やすとともに妊活もスタートしたほうがよいでしょう。食生活や生活習慣を見直して、まずは妊娠しやすい体づくりから始めましょう。

【参考資料】
『最新版 初めての妊活スタートブック 赤ちゃんがほしいときに読む本』(ナツメ社・2014年)宮内彰人・笠井靖代(監修)
『卵子の老化に負けない 妊娠体質に変わる栄養セラピー』(青春出版社・2017年)古賀文敏・定真理子
『決定版 栄養学の基本がまるごとわかる事典』(西東社・2015年)足立香代子(監修)
『葉酸』(健全社)永井勝次

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