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2018.04.19



主なペプチドホルモン15種の働き-血管を行き交う興奮伝達物質

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「ホルモン」は、健康や美容の分野でよく耳にする言葉ですが、普通の人が知っているのは、「体を健康な状態に保つために必要な物質」ということぐらいですよね?

「ペプチド」もたまに耳にする言葉ですが、なんとなく「タンパク質の仲間」のようなイメージがあるのではないでしょうか。

ホルモンとは、簡単にいえば「興奮した細胞でつくられ、その細胞から出て別の細胞に働きかけ、その細胞を興奮させる物質」です。
現在までに、100種以上のホルモンが発見されており、「ペプチドホルモン」はその多くを占めています。

ここでは、まずペプチドとはなにかということにはじまり、「ペプチドホルモン」の概要を理解してから、代表的な15種のペプチドホルモンが、「どこから分泌されてどこに働くのか」ということを解説します。

目次

1. ペプチドホルモンとは?
1-1. アミノ酸が結合したペプチド
1-2. 体内でつくられるペプチドと機能性ペプチド
1-3. ホルモンの種類と役割
1-3-1. ペプチドホルモン
1-3-2. ステロイドホルモン
1-3-3. アミン型ホルモン

2. 代表的な15種のペプチドホルモン
① インスリン
② グルカゴン
③ 成長ホルモン(GH)
④ レプチン
⑤ インクレチン
⑥ バソプレッシン
⑦ オキシトシン
⑧ プロラクチン(PRL)
⑨ 一酸化窒素
⑩ ナトリウム利尿ペプチド(ANP、BNP、CNP)
⑪ オレキシン
⑫ カルシトニン(CT)
⑬ 副甲状腺ホルモン(PTH)
⑭ アンジオテンシンⅡ
⑮ エリスロポエチン(EPO)

まとめ

1. ペプチドホルモンとは?

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「ペプチドホルモン」とは、文字どおり「ぺプチド」の「ホルモン」です。
ペプチドとホルモン、それぞれがどのようなものかということを簡単に解説しましょう。

1-1. アミノ酸が結合したペプチド

人間の体は60%が水分で、20%が糖質、脂質、無機質、残りの20%がタンパク質です。
タンパク質は、筋肉や皮膚、毛髪、骨、血液、内臓などの材料として、生きていく上で欠かせない栄養素であり、エネルギーとしても使われます。

タンパク質を構成しているのがアミノ酸。
そして、ペプチドもタンパク質と同様に、アミノ酸からできています。

アミノ酸が2個結合したものが「ジペプチド」、3個結合したものが「トリペプチド」、10個程度までのものが「オリゴペプチド」、それ以上のものが「ポリペプチド」と呼ばれます。

結合しているアミノ酸が100個を超えるようなもので、特定の性質をもっているものが「タンパク質」と呼ばれます。

ペプチドはタンパク質のパーツでもあり、合成する過程では「アミノ酸→ペプチド→タンパク質」となりますが、逆にタンパク質を摂取して体内で分解されるときには、「タンパク質→ペプチド→アミノ酸」となります。

様々な種類のペプチドやタンパク質を構成するアミノ酸はわずか20種で、そのうち9種が体内で合成できないために食べ物などから摂取しなければならない「必須アミノ酸」、11種が体内で合成できる「非必須アミノ酸」です。

1-2. 体内でつくられるペプチドと機能性ペプチド

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結合するアミノ酸の数や種類だけでなく、結合する順番が違っても性質の異なるペプチドやタンパク質ができるので、それらの数は膨大なものになります。

ペプチドには、体内で合成されるものと、化学合成されて食品や医薬品、化粧品などに使用される「機能性ペプチド」という分類があります。

機能性ペプチドには、「血圧降下ペプチド」「抗酸化ペプチド」「コレステロール代謝改善ペプチド」「抗菌性ペプチド」「免疫調節ペプチド」など、様々な機能を発揮するものがあります。

体内で合成されるペプチドは、タンパク質が胃でペプチドまで分解され、さらに小腸でアミノ酸に分解されて体内に吸収され、全身の組織へと運ばれて、それぞれの場所で機能を発揮するペプチドに合成されます。

なぜ、20種類のアミノ酸から、いろいろな機能をもつペプチドやタンパク質が合成できるのかというと、細胞の中の遺伝子である「DNA(デオキシリボ核酸)」が設計図をもっていて、「RNA(リボ核酸)」がその設計図をもとにして合成するからなのです。

そして、体内で合成されるペプチドの一部が「ペプチドホルモン」と呼ばれるのです。

1-3. ホルモンの種類と役割

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「ホルモン」は特定の細胞(組織)で合成されて、別の特定の細胞(組織)だけに働く物質です。

ホルモンを受け止める細胞は、特定の「ホルモン受容体」をもっています。
ある細胞で合成され、分泌されたホルモンは、血液の中に放たれて全身を循環し、受容体のある細胞だけを興奮(活性化)させます。

どんな細胞でも興奮させてしまう物質は、ホルモンと呼びません。

ホルモンの多くは、アミノ酸が結合してできた「ペプチドホルモン」で、そのほかに血液中のコレステロールからできている「ステロイドホルモン」や、アミノ酸が反応して変化することによってできる「アミン型ホルモン」があります。

それぞれの概要を解説しましょう。

1-3-1. ペプチドホルモン

「タンパク質型ホルモン」と呼ばれることもあるペプチドホルモンは、水溶性で粒が大きく細胞内に入れませんが、受容体をもった細胞の外から指令を出します。

すぐに効果が出ますが、効果が持続する時間が短いという特徴があります。
受容体をもっている細胞に興奮を伝えて役目を終えたペプチドホルモンは、その場で壊されてしまいます。

1-3-2. ステロイドホルモン

ステロイドホルモンはコレステロールからできているために脂溶性であり、そのままでは血液となじまないので、ある種のタンパク質と結合して血管を移動します。

粒の大きさはペプチドホルモンの10分の1程度で、細胞の中まで入っていき、遺伝子にタンパク質をつくらせて遺伝子の働きを活性化させます。

作用するまでに時間がかかりますが、効果が持続するのが特徴です。

代表的なステロイドホルモンには、エストロゲンなどの女性ホルモン、テストステロンなどの男性ホルモン、コルチゾールなどの副腎皮質ホルモンがあります。

1-3-3. アミン型ホルモン

アミノ酸が反応して変化することによってできるアミン型ホルモンには、甲状腺ホルモン、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニン、「快楽ホルモン」と呼ばれるドーパミン、「戦闘ホルモン」と呼ばれるアドレナリン、「集中ホルモン」と呼ばれるノルアドレナリン、「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンなどがあります。

甲状腺ホルモンだけは、アミノ酸なのに脂溶性で、細胞の中まで入って作用します。
そのほかのアミン型ホルモンは、水溶性で、ペプチドホルモンと同様に細胞の外から作用します。

2. 代表的な15種のペプチドホルモン

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ここからは、代表的なペプチドホルモンを15種類紹介します。
それぞれ、成り立ち、分泌部位と受容体のある部位について簡単に解説しましょう。

① インスリン

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通称: 倹約ホルモン
分泌部位: 膵臓
受容体: 全身(主に肝臓、骨格筋、脂肪組織)

インスリンは、21個のアミノ酸が結合したペプチドと、30個のアミノ酸が結合したペプチドが結合したペプチドホルモンです。

食事をして、血液中のブドウ糖が増えたときに膵臓で分泌され、全身で作用します。
主な役割は、血糖値を下げる、ブドウ糖をエネルギーに変換することのほか、余剰のブドウ糖を肝臓でグリコーゲンとしたり、脂肪にしたりしてため込むことです。

② グルカゴン

通称: エネルギー製造ホルモン
分泌部位: 膵臓
受容体: 全身

グルカゴンは、29個のアミノ酸から成るペプチドで、血液中のブドウ糖が減ったときに膵臓で分泌され、全身で働きます。

肝臓のグリコーゲンをブドウ糖に変えてエネルギーとして使えるようにします。

③ 成長ホルモン(GH)

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通称: すこやかホルモン
分泌部位: 脳下垂体前葉
受容体: 全身

成長ホルモンは、191個のアミノ酸からなるポリペプチドで、眠っている間や強い運動をしたときに脳下垂体から分泌されます。

作用する細胞は全身にわたり、骨や筋肉を成長させる、新陳代謝を促進する、血糖を上げるといった役割があります。

④ レプチン

通称: 満腹ホルモン
分泌部位: 脂肪組織
受容体: 脳

レプチンは、脂肪組織から分泌される生理活性物質「アディポサイトカイン」のひとつで、146個のアミノ酸から成るポリペプチドです。

食べ物をたくさん食べたときや、インスリンの刺激を受けたときに分泌されて、食欲を抑え、エネルギー消費量を増やす働きがあります。

⑤ インクレチン

通称: 食欲抑制ホルモン
分泌部位: 腸
受容体: 脳、胃、膵臓

インクレチンは、小腸の一部が刺激されて分泌され、膵臓のインスリン分泌を促進するホルモンの総称で、「GLP-1」や「GIP」があります。

GLP-1は30個のアミノ酸、GIPは42個のアミノ酸から成り、腸に食べた物が入ってきたときに分泌されて、脳に作用して食欲を抑える、胃に作用して胃の動きを遅くする、膵臓に作用してインスリンの分泌を促し、グルカゴンの分泌を抑制するといった働きをします。

⑥ バソプレッシン

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通称: 浮気抑制ホルモン
分泌部位: 脳下垂体後葉
受容体: 腎臓

「抗利尿ホルモン」とも呼ばれるバソプレッシンは、9個のアミノ酸から成るペプチドで、脱水が激しいときや塩辛いものをたくさん食べたとき、日光を浴びたときや男性ホルモンのテストステロンが増えたときなどに、分泌されます。

腎臓に働いて、尿が出過ぎるのを防ぎ、血圧を上げ、体内時計のリズムを調節する働きがあります。

また、男性が家族を守るために縄張り意識を高める作用があるといわれ、バソプレッシンの働きが弱くなると、浮気をしたり離婚をしたりしやすいという報告があります。

⑦ オキシトシン

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通称: 愛情ホルモン
分泌部位: 脳下垂体後葉
受容体: 子宮、乳腺

オキシトシンは、バソプレッシンとともに2種類の下垂体後葉ホルモンのひとつで、やはり9個のアミノ酸から成り、バソプレッシンとは2個が異なるだけです。
はじめて人工的に合成されたペプチドホルモンとしても知られています。

子どもやペットを抱きしめたときなどに分泌が高まり、相手との絆を深めたり、幸福感をもたらしたりします。
また、女性においては分娩時に子宮を収縮させたり、母乳を出やすくする役割があります。

⑧ プロラクチン(PRL)

通称: ミルクホルモン
分泌部位: 脳下垂体前葉
受容体: 乳腺、中枢神経

プロラクチンは、199個のアミノ酸から成るポリペプチドで、思春期に多く分泌され、女性は出産後に赤ちゃんが母乳を飲むことにより、男性は射精時に分泌が高まります。

妊娠中は胎盤からも分泌され、主な役割は、乳腺を発達させて母乳をつくること、産後すぐに妊娠しないように排卵を抑制することなどです。
また、子宮の環境を整えるステロイドホルモンである、「プロゲステロン」の分泌を促します。

⑨ 一酸化窒素

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通称: 血管拡張ホルモン
分泌部位: 血管
受容体: 血管

一酸化窒素は、窒素と酸素の化合物で、自然界では大気汚染物質として知られますが、生体内では、アミノ酸のひとつであるアルギニンと一酸化窒素合成酵素によってつくられるペプチドホルモンとなります。

血管からガスが出て、自身の機能を調節しているという特殊なホルモンで、「善玉ホルモンの代表」などともいわれます。

運動や入浴などで血行がよくなったときや、血液量が増えたときに分泌されて、動脈の周りにある筋肉をゆるめて流れる血液の量を増やします。
血栓ができるのを防ぐ動脈硬化予防もあり、心臓病の薬や発毛剤などにも利用されています。                                                                                      

⑩ ナトリウム利尿ペプチド(ANP、BNP、CNP)

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通称: 心臓ホルモン
分泌部位: 心臓
受容体: 腎臓、血管

ナトリウム利尿ペプチドには、主に心臓上部の心房でつくられる「心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)」と、心臓下部の心室でつくられる「脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)」、「C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)」があります。

CNPは22個のアミノ酸から成り、一酸化窒素と同じく血管で分泌されて血管に作用します。
ANPは28個のアミノ酸、BNPは32個のアミノ酸から成り、一酸化窒素と同様に血行がよくなったときや、心臓の血液量が増えたときに分泌され、心不全のように心臓が弱ったときにも分泌が高まります。

一酸化窒素と同じように血管を広げて血流を促し、さらに腎臓から余分な尿を出して塩分を排出する働きがあります。

⑪ オレキシン

通称: 覚醒ホルモン
分泌部位: 視床下部
受容体: 脳

オレキシンには、33個のアミノ酸から成る「オレキシンA」と、28個のアミノ酸から成る「オレキシンB」があり、ともに脳の視床下部から随時分泌されています。

「起きる」と「眠る」を切り替える役割をし、オレキシンの量が増えると体は覚醒モードになって頭がシャキッと冴え、量が減るとお休みモードになります。

近年、寝ていて意識はあるのに体が動かないという「金縛り」は、オレキシンの欠乏が原因であることがわかりました。
また、オレキシンの量が多いと、食欲が旺盛になることもわかっています。

⑫ カルシトニン(CT)

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通称: 骨ホルモン
分泌部位: 甲状腺
受容体: 骨、腎臓

カルシトニンは、32個のアミノ酸から成るペプチドで、血液中のカルシウム濃度が上がると分泌されます。

血液中のカルシウム濃度を下げて、余分なカルシウムを骨に溜めて骨の形成を促進します。
次に解説する副甲状腺ホルモンと反対の働きをします。

⑬ 副甲状腺ホルモン(PTH)

通称: カルシウム調整ホルモン
分泌部位: 副甲状腺
受容体: 骨、腎臓

副甲状腺ホルモンは、84個のアミノ酸から成るポリペプチドで、カルシトニンとは反対に、血液中のカルシウム濃度を上げる働きがあります。

血液中のカルシウム濃度が下がると副甲状腺から分泌され、ステロイドホルモンとしての顔ももつビタミンDとともに働き、骨からカルシウムを取り出して、血液が酸性に傾いて免疫機能が低下したり、手足がしびれたりするのを防ぎます。

⑭ アンジオテンシンⅡ

通称: 塩分補給ホルモン
分泌部位: 肝臓
受容体: 副腎皮質、肝臓、脳

アンジオテンシンには、ⅠからⅣまでの4種があり、10個のアミノ酸からなるアンジオテンシンⅠが分解されて、8個のアミノ酸からなるアンジオテンシンⅡがつくられます。
さらに分解されてⅢとⅣができますが活性が低く、アンジオテンシンⅡが主に働きます。

塩分不足を感じると肝臓から分泌され、血管を収縮させて血圧を上昇させます。
さらに、ミネラルを調整するステロイドホルモン「アルドステロン」の分泌を促し、塩分を摂りたいという気分を起こさせます。

ナトリウム利尿ペプチドとは逆の働きになります。

⑮ エリスロポエチン(EPO)

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通称: 貧血予防ホルモン
分泌部位: 腎臓
受容体: 骨髄

エリスロポエチンは、165個のアミノ酸から成るポリペプチドで、血液の低酸素状態に反応して腎臓から分泌されます。

エリスロポエチンは全身を循環して骨髄に働きかけ、赤血球をつくる指示を出して貧血になるのを防ぎます。

まとめ

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体内のホルモンバランスは、ちょっとしたことでも崩れてしまい、心や体に悪影響を及ぼします。
ホルモンを知り、ホルモンの働きを味方につけることで、人生を楽しく明るいものへと変えることも可能です。

ここで紹介したペプチドホルモンは代表的なものだけで、ほかにも重要な役割をはたしているものがいくつもあります。

また、ホルモンはほかのホルモンの分泌に影響を及ぼすものが多いので、この記事でホルモンに興味をもたれた方は、ぜひホルモンについての全体像を学んでください。

 

 

【参考資料】
・『ココロとカラダを元気にする ホルモンのちから』 高橋書店 伊藤裕 2017年
・『ホルモンのしくみ』 メディカルレビュー社 赤水尚史(編集) 2017年
・『なんでもホルモン』 朝日新聞出版 伊藤裕 2015年
・『セラピストなら知っておきたい解剖生理学』 秀和システム 野溝明子 2011年

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