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2018.05.11



きちんと知ろう。多嚢胞性卵巣症候群の基礎知識   

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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)って、聞いたことありますか?
妊娠を望んでいる女性なら、何かの記事などで見たことがあるかもしれません。
「不妊の原因はなんでしょう?」
そう思って、無闇に怯えたり、落ち込んだりしていませんか。

多嚢胞性卵巣症候群は、妊娠可能な年齢の女性の5~10%が抱えている、決して珍しくないものです。病気というよりも、体質の1つと捉える医師もいます。
治療法もあり、妊娠に結びつく例も多くあります。
どんな症状が出るのか。どういう治療をするのか。多嚢胞性卵巣症候群の基本的な情報を見てみましょう。

目次

1. 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは

2. 診断
2-1. 月経異常
2-2. 多嚢胞卵巣
2-3. 「血中男性ホルモンの高値」あるいは「卵胞刺激ホルモン(FSH)の上昇を伴わない、黄体形成ホルモン(LH)の高値」

3. 原因

4. 自覚症状
4-1. 月経不順や不妊
4-2. 多毛、ニキビ、声の低音化など
4-3. 肥満

5. 治療法
5-1. 妊娠を望まない人の場合
5-2. 妊娠を望む人の場合

6. 放っておくと怖い、多嚢胞性卵巣症候群
6-1. メタボリックシンドローム
6-2. 糖尿病
6-3. 子宮体ガン

まとめ

1. 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは

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卵胞(卵子の入ったふくろ)がうまく育たず、育ったとしても時間がかかって、なかなか排卵されない病気です。長い名前なので、英語名の「polycystic ovarian syndrome」を略して「PCO」や「PCOS」と表記することもあります。
妊娠可能な年齢の女性のうち、5~10%はこの疾患を抱えているとされます。
10~20人に1人、くらいの割合です。

排卵が困難なため、受精の機会も少なく、妊娠しづらい身体になります。
ただし、排卵障害を起こす病気は他にもあります。多嚢胞性卵巣症候群は、その中の1つというわけです。

2. 診断

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診断には、血液検査、超音波検査、体重測定やBMI計算、皮膚の状態観察などを行います。
以前は欧米の基準によって診断されていましたが、日本女性に合うよう基準が見直され、現在は2007年に設けられた基準が使われています。(日本産科婦人科学会 生殖・内分泌委員会、2007)

次の3つの条件をすべて満たす場合、多嚢胞性卵巣症候群と診断します。

2-1. 月経異常

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初潮が遅かったり(16歳以上)、毎月の月経周期が長すぎたり、3ヶ月以上月経がない場合には、多嚢胞性卵巣症候群である可能性があります。月経のような周期的出血はあっても、排卵を伴わない無排卵周期症というケースもあります。

平均的な月経は初潮が12歳前後。周期は25日~38日ほどです。この周期から外れているなら、念のために一度、専門医に相談しておくと良いでしょう。
月経異常には、子宮内膜症や腫瘍など、他の病気が潜んでいることも多くあります。

2-2. 多嚢胞卵巣

多嚢胞性卵巣症候群の人は、超音波で診断すると、両側の卵巣周囲に未熟な卵胞がずらりと並んでいるのが見えます。2つある卵巣のうち、少なくとも一方の卵巣で2~9mmの小卵胞が10個以上存在するかどうかを診断の基準とします。
まるで真珠をつなげたネックレスのようなので、ネックレスサインとも呼ばれます。

2-3. 「血中男性ホルモンの高値」あるいは「卵胞刺激ホルモン(FSH)の上昇を伴わない、黄体形成ホルモン(LH)の高値」

これはちょっと、ややこしい話かもしれません。
簡単に言えば、血液中のホルモン数値の偏りをチェックする、ということです。

少し詳しく説明します。
卵胞が育つために、まず脳の中の脳下垂体という場所から、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が分泌されます。
2つのホルモンは血液に乗って運ばれ、卵巣を刺激します。そこから卵胞が育ち始めます。
次に、卵巣からアンドロゲン(男性ホルモン)が分泌され、それを材料にしてエストロゲン(女性ホルモン)がつくられます。
エストロゲンが脳下垂体を刺激すると、脳下垂体は再び大量の黄体形成ホルモンを出します。
この黄体形成ホルモンの影響で、排卵が起こります。

つまり卵胞が順調に育って排出されるためには、さまざまな性ホルモンが、適切に分泌されなくてはなりません。
多嚢胞性卵巣症候群の人はこのバランスが悪く、特に血液中の黄体形成ホルモン値が偏って出るのです。

また、多嚢胞性卵巣症候群の人は、血中のアンドロゲン(男性ホルモン)濃度も高くなる傾向があり、診断の手掛かりになります。
ただし、副腎や卵巣に腫瘍があって、それが原因でアンドロゲン分泌量が増えることもあります。
3つの条件すべてに当てはまるかどうかを確認するのは、別の病気との誤診断を防ぐためでもあるのです。

3. 原因

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多嚢胞性卵巣症候群がなぜ起きるのか、原因ははっきりとはわかっていません。内分泌異常など、複数の理由が重なって発症していると考えられているようです。
しかし最近は、インスリンが鍵になっているのではないかと注目を集めています。

インスリンは膵臓から分泌されるホルモンです。血中の糖を、細胞が取り込んでエネルギーにするのを助けます。しかし何かの理由で、細胞がインスリンの働きに抵抗を示すようになることがあります(インスリン抵抗性)。すると血糖値が下がらず、膵臓は慌てて、さらにインスリンを分泌しようとします。

インスリンが多くなると、いくつかの体内物質と影響しあって、男性ホルモン(アンドロゲン)が増産・活性化されます。
多嚢胞性卵巣症候群の女性の体内で増えた男性ホルモンは、卵胞の成長をますます抑えてしまいます。

4. 自覚症状

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多嚢胞性卵巣症候群は、思春期に現れ、年齢とともに深刻化するのが典型的です。症状は人によって異なります。

4-1. 月経不順や不妊

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月経不順や不妊に悩んで産婦人科を受診し、そこで初めて気づく人が一番多いのではないでしょうか。月経不順には多嚢胞性卵巣症候群の他にも、ガンなどの深刻な病気が潜んでいることがあります。少しでも気になる人は、一度専門医の診察を受けることをお勧めします。

4-2. 多毛、ニキビ、声の低音化など

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多嚢胞性卵巣症候群の人は男性ホルモンの値が高いことから、ニキビが増えたり、ヒゲが生えたり、すね毛が濃くなることがあります。女性にしてはやけに声が低い、という例もあります。
欧米では多い症状ですが、日本人だとこれらの変化が目立たないことも多いようです。

4-3. 肥満

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肥満も、よく挙げられる症状です。
多嚢胞性卵巣症候群の女性の多くが、インスリン抵抗性を持っています。そのため血糖値がうまくコントロールできず、ますますインスリンが分泌される過剰状態になります。
インスリンは体内の血糖値を下げるために、余分な糖分の一部を脂肪に変えて蓄えます。
その結果、肥満気味になるというわけです。
一見痩せていても、体脂肪率が高い「隠れ肥満」の人もいます。
この状態が長く続くと、糖尿病など、別の病気を発症しやすくなります。

5. 治療法

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とはいえ、根本的な原因や治療法が解明・確立されているわけではありません。発生している症状に、それぞれ対処して治療することとなります。

妊娠を望んでいるか、望んでいないかで、治療方針が変わります。
ただし、どちらであっても肥満傾向の人は減量をするのが共通方針です。食事の見直しや軽度の運動で体重を落とすだけでも、排卵率と妊娠率が上がることがあります。

5-1. 妊娠を望まない人の場合

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必要があれば減量を進めつつ、黄体ホルモン製剤やピル(経口避妊薬と呼ばれることもあります)などを使って、周期的に月経を起こすよう導きます。

ピルには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が配合されていて、月経が28日で定期的に来るようコントロールします。排卵を抑える働きがあるため避妊薬としての効果がよく知られていますが、本来はホルモンバランスを整える薬です。卵巣を休めてダメージの修復をする時間をつくります。月経周期が固定されて生活しやすくなる、月経自体が軽くなる、卵巣ガンや子宮体ガンの予防になる、といったいくつもの利点があります。

5-2. 妊娠を望む人の場合

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薬による排卵誘発治療を行います。例えば、副作用の少ないシクロフェニル(商品名:セキソビット)や、効果の高いクロミフェン(商品名:クロミッド)といった飲み薬が処方されます。この薬で効果がない場合、ゴナドトロピン療法(hMG-hCG療法)という、ホルモン製剤を注射して排卵を誘発する方法などが選択されます。

薬以外には、例えば腹腔鏡下手術で卵巣にレーザーなどで小さな穴を開け、排卵しやすくする方法があります。
それも難しい場合や、女性が比較的高齢の場合などには、卵子を人工的に取り出して、体外受精させる方法もあります。

最近は、糖尿病の薬によって、多嚢胞性卵巣症候群の排卵障害が軽減されることもわかってきています。糖尿病の薬は血糖を下げてインスリンの過剰分泌を抑えるため、卵巣での男性ホルモン量も抑制され、バランスが整って、排卵しやすくなるようです。インスリン抵抗性があるタイプの人に効果があり、毎日服用して2~3ヶ月で効果が出ると言われています。

いずれも個人の症状や年齢などで治療方法は変わりますから、納得できるよう、専門の医師とよく相談しましょう。

6. 放っておくと怖い、多嚢胞性卵巣症候群

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「妊娠は望んでないし、月経不順も気にしない」そんな女性もいるでしょう。
でも、医者に行かず放っておくと、別の病気につながることがあります。月経不順だけだと思っていたら、大きな病気が隠れていることもあります。

6-1. メタボリックシンドローム

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多嚢胞性卵巣症候群の人は、メタボリックシンドロームになる危険性が高いと考えられています。
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪が多く、糖尿病などの生活習慣病になりやすい状態のことです。動脈硬化や高血圧、血栓症といったさまざまな病気になりやすく、心臓や脳、血管などにも深刻なダメージを受けがちです。若い人でも、関係ありません。

6-2. 糖尿病

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特に注意が必要なのは、糖尿病です。多嚢胞性卵巣症候群の人は、15%が閉経後に糖尿病を発症するとも言われます。
多嚢胞性卵巣症候群の女性の多くにインスリン抵抗性があり、細胞が糖をうまく利用できないため、血糖値が上がりがちです。太っていなくても、糖尿病になりやすいのです。

6-3. 子宮体ガン

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女性としては、子宮体ガンのリスクにも警戒が必要です。
多嚢胞性卵巣症候群では、排卵がほとんどないために、排卵後に分泌される2つの女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)も分泌されません。
でも、エストロゲンの方は卵胞を育てる最中にも分泌されるので、結果的に、プロゲステロンだけが足りない状態になります。

子宮は本来、この2つのホルモンに従って内膜の状態を変化させます。
エストロゲンを浴びているときは、細胞分裂を促し、子宮内膜を厚くします。
逆にプロゲステロンを浴びたときは、細胞分裂を止めます。

多嚢胞性卵巣症候群の女性は、エストロゲンばかりが分泌されるため、子宮内膜がどんどん厚くなります。プロゲステロンが足りないので、休む間がありません。
このようなホルモン環境は、子宮体の発ガンリスクを高めます。
実際、若い子宮体ガンの患者は、高頻度で多嚢胞性卵巣症候群も発症しています。

子宮体ガン予防の観点からも、周期的に月経を起こす治療は大切なのです。

まとめ

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多嚢胞性卵巣症候群は、卵子の入った卵胞がうまく育たず、排卵が困難になる病気です。排卵障害は年齢とともに進み、月経周期も長くなる傾向にあります。
人によって症状のあらわれ方が違い、中には、排卵が稀なことに気づかないまま自然妊娠する人もいます。
でも基本的に、妊娠しづらい状態であることは確かです。放置すると別の病気につながる可能性もあります。
「もしかして、多嚢胞性卵巣症候群?」と思ったら、早めに医師の診断を受けましょう。

 

【参考資料】
『最新 不妊治療がよくわかる本』 日本文芸社 辰巳賢一 2011年
『卵巣の病気』 講談社 上坊敏子 2012年
『元気な赤ちゃんができる本』 池田書店 原利夫 2012年
『日本産婦人科学会雑誌』(第60巻9号、11号) 公益社団法人日本産科婦人科学会

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